2009年10月13日
虚無への供物
じゅんじゅんです
きょう新横浜の有名な病院へ診断書を書いてもらいに行きました。
初診の理由と、転院の理由が必要だったもので。
ここは産婦人科・小児科がメインですが、内科やエイジレス科などもある
のです。
しかし、ロビーを新生児を抱いた母親や、妊婦さん、よちよち歩きの子供
たちが占拠しているので、子供のできなかった私には通うのが辛くて、
子宮がん検診や乳がん検診も出来るのですが、他院へ移ったのです。
当時、転院の希望を告げると、転院先が大学病院だったので、さらに高度な
不妊治療を受けるのだろうと誤解され、温かい励ましの言葉をいただいて
転院したのでした。
久々にロビーに足を踏み入れると、あいかわらずの大盛況で、見ないふり
をしても目に入ります新生児。だけど4~5年前と違ったのは、前は受付
の上に電光掲示板があり、新しく出生した赤ん坊の名前と母親の名前を
流していたのですが、その装置が見当たりませんでした。
やっぱり少子化で、出産だけを取り扱ったのでは経営がむづかしい。
不妊治療やがん検診やエイジレス外来(って気になる。ホルモン治療かな?)
に来て、あれをみて悲しかったり複雑だったりする患者もいるので止めたの
だろう。それとも私の目に入らなかっただけ?
他人の出産情報より自分の順番があと何人で来るかの方がどの患者にも重要
なので、診察室ごとの順番の進行状況を番号表示する画面がロビーの正面に
出来ていました。
前の副院長が院長になっていて、私を診察したことがある医師はそのひとだ
け。院長先生はあらかじめ電話で取り寄せを頼んでおいたカルテを見ながら
「おもいだしますね。。。おりおりを。」といい、なるたけ簡潔に診断書を
書こうと苦慮したのでしょう。
初診の理由は、頭痛と不正出血だったのですが、ひとことでなぜこの病院を
選んだかというと、子供が欲しいと思っていたからなので、院長先生は
「いろいろあるけど、こんなのは。。。」とカルテをゆびさし、結局、
初診理由_挙児希望にて受診 と一行で表現してくださった。
転院理由は 本院では婦人科検診のみフォローのため
なるほど、便宜のために大学病院に転院した、と。
事実のみ。誇張や虚構はいささかもなし。
でもね。私はこの「挙児希望」が「虚児希望」に一瞬見えてしまって。。。
すぐに、「あ、なるほど挙児か。これから不妊と言わず、挙児希望ですって
表現が一般的になるべきでは?」と急いで思い直したのでした。
それでも、この「挙児」の文字は、心に刺さるなあ。
私はもともと、「子供は欲しい。自分で産むのは怖い。無痛分娩がいい。」
とか思っていたへなちょこだったので、子供ができない覚悟はしていたし、
若いころから、時代劇を見ても、秀頼大事の淀殿より、伊達政宗の長男や
徳川家康の次男、宮様や宇喜多秀家などの数人の養子や加藤清正や福島正則
の少年時代を知っていて、自分の甥をかわいがらず秀吉に叱られ、その金吾
中納言を秀吉が小早川家に養子に出した時、「かんにんしてちょうよ。
塩の足らん子を押しつけてしもうて」と心の中で手を合わせつつ舌も出して
いたろう北の政所ことおね様の方が、贔屓だったのだ。
それでも、幻の子供のために、ニューズウイーク誌の「0歳からの教育
4歳からの学習」も読んだし、「早寝早起き4回食」も読んでいた。
お受験の情報誌から体育教育中心の幼稚園のチラシから、女の子のための
発表会用ドレスの洋裁本も。
それらは弟に子供が生まれた時、渡そうと何度か思ったが、止めた。
それらの本は書斎の(子供がいないので書斎はある)本棚の一角を占拠して
いる。それらを読んだ時間も保管しているスペースも「虚無への供物」と
言う気がしないでもないが、私という人間を文章に例えるなら、この供物は
行間であり、メモ書きに役立つ余白でもあるはずだ、と思うのだ。
Posted by massan&junjun at 22:24│Comments(0)