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2009年10月07日

ブリキの扇風機


じゅんじゅんです

あれは一番年上の従弟が生まれてすぐだから私は3~4歳。

まあ4歳ということにしておこう。敵は1歳前ということだ。

ある日、お気に入りのおもちゃを出して遊んでいると、従弟が連れられて

やってきた。私は子供のころから赤ん坊が好きだがこの従弟とはあんまり

相性が良くないというか、まあかわいいと思ってなかった。

で、気にせず、遊んでいたが、洗濯機のおもちゃと扇風機のおもちゃの

うち、扇風機の方を動かして遊んでいると、従弟が動きにつられて手を

出してきたのだ。危ないからしまおうとしていると、祖母が言ったのだ。

「じゅんちゃん。OOちゃんにやらんね。あとでばあちゃんが同じのを

買うてやるけん」私はものすごく嫌だったが、同じものを買ってくれると

いう言葉を信じて従弟に渡してしまった。

それでどうなったか。それきりですよ。祖母も母も、同じものを買って

などくれませんでした。扇風機のおもちゃは緑のブリキ製で、今でも

惜しく思い、同じものがあったら自分で買おうと思うくらいですが、幸い

にも?めぐりあっていません。あったら高いだろうな。

あれは誰が買ってくれたのか。もしかしたら従弟の父親である叔父だった

かもしれません。あの扇風機、やつが大事にしてくれてたらいいが、

その後一度おもちゃ箱の中に無造作に突っ込まれてるのを見ただけで

二度と見ることはなかった。あのときも「いらないなら返して」とのど

元まで出かかったが、同じのを買ってくれるといった祖母の言葉を頼りに

ぐっとこらえたのでした。

だから私は、おもちゃを、弟妹や従弟従妹たちに譲らせることには断固

反対する。「もう大きいんだからOOちゃんにあげなさい」などと

絶対に言って欲しくない。そもそも年齢によっていらなくなるような

おもちゃを、「そのこのおもちゃ」として与えるべきではない。

私はそもそも分け合うことが嫌いだが、祖母の愛情がどの孫に対しても

さほど変わらないということは理解できる。いや、死んだ祖母の遺品の

アルバムに無造作に張られていた9人の従弟従妹たちの写真を見て理解した。

みんな同じでみんなかわいい。子犬がじゃれあってるCMじゃないが、

だれかが突出してかわいいということはないのだ。

総領孫である私は、理解していなかった。自分が一番でしかるべしと思って

いたのだ。それが裏切られた。だから私は祖母に会った最後の日にも、祖母の

死期を告げられ泣いた日にも、心の奥で思っていた。

「同じものを買ってくれると嘘をつかれた。」と。

今では、祖母に、従弟におもちゃを買ってやる経済力がなかったことや、私に

同じものを探してくる労力がなかったことも理解できる。

だが、あのとき「いやだ」と言えなかった自分がものすごく悲しい。

わたしはなぜ、祖母の言い分をやすやすと信じて従ったのかと。

私は自分が一番愛されていると信じて疑わなかった。

そしてそれは間違いだと裏付けされたのが哀しいのだ。

父方の祖母が亡くなってしばらくの間、私は長崎で静養していた。

いつまでも遊んでいられないので就職し、空しくなって早寝した夜祖母が夢に

あらわれた。「東京に帰りたかとやろ。おしてやるから、乗らんね」

そう言って祖母は荒れた川に腰まで浸かって小舟に私を乗せた。

そんな夢を見たと母に話すと「あの世でも働いてるのかしら。。。」と言っていたが

程なく見合い話があり、まっさんと会ったのでした。

「おれは扇風機のかわりか」とこれを読んだらまっさんはいいそうだが。


  


Posted by massan&junjun at 20:42Comments(0)